スマート農業ブランディング

日本における『農業』の問題は大きく3つに分けられ、

① 高齢化・担い手不足
② 耕作放棄地の増加
③ TPPによる価格競争

など、課題は山積しています。特に、近年のロシアによるウクライナ侵攻により肥料や農業資材などが高騰しており、70歳近い近隣農家さんから、

「肥料が45%も値上げして、また3ヶ月後には更に値上げするという話を業者から聞いた…これじゃぁやっていけない」

という話を直接聞いています。令和元年の農林水産省の発表では、日本の食料自給率(カロリーベース)は38%ととても低く、食品の大部分を海外からの輸入に頼っています。

しかし、TPPにより、より安い海外製品が日本の店頭で売られるようになってきたため、国内で生産された農作物が価格競争に巻き込まれやすくなってしまいました。

近年の農業の問題をまとめると、農家が高齢化して、担い手も不足。その原因は「農業は大変だし、生活も大変だから…」ということに尽きます。更に、担い手がいないので、農地はみるみる荒廃し、今問題の『荒廃農地の増加』に至っているのです。

最近、沖縄県の琉球大学農学部の現役大学生(3年生)数名と話す機会があり、「卒業後は何やりたい?」と質問すると、ほとんどが、「農業好きだけど、収入が安定しないから公務員とかですかね…」という話を聞きました。

これだけ農業が好きで、農学部に入ったのに、進路は別の道に進むことを聞くと、なんだか悲しくなりました。しかし、これが現状。担い手が不足しているだけでなく、新卒の優秀な新規就農者が増えないのはとても残念に感じます。もっと若い層が増えて、農業が盛り上がれば、間違いなく新しい形の産業が産まれてくるに違いありません。

これらの問題を解決するためには、以下の5つの戦略が必要だと考えます。

① スマート農業の導入
② 6次産業化で商品をブランド化する
③ 海外に付加価値をつけて売り出す
④ 女性が働きやすい環境を整える
⑤ とにかく楽しくやる

 

① スマート農業の導入

従来の農業は、朝早く起き、大変な仕事を炎天下の中、黙々とやる。しかし、これからの農業は効率性を上げ、人がやらなくても良い管理は機械に任せ、人間の勘に頼っていた部分をできる限りデータ化・システム化して、自動化していかなくてはいけません。

私たちは、CO2や温度・湿度、風向、天気、土壌成分、葉面の色など、様々なセンサーから情報を得て、作物に一番適したシステム開発を行っています。

正直、システムを作るだけであれば、作る会社は山ほどありますが、農家目線に立ってシステムを作ることができる所はほとんどありません。私たちは、システム開発ができる農家。これ以上の『農家目線』でシステム開発できる所は恐らくココだけ。集まる仲間は全て、超一流のデザイナー、フルスタックエンジニアなど。

農家の「こんなの、あったらいいな」を、確実に使える形にします。

② 6次産業化で商品をブランド化する

こだわりの品質で青果として出す方法も大切ですが、もっと重要なことが、商品価値を高めること。商品の裏には、どんなストーリーがあって、どんな想いで作られていて、どんな人が作っていて、他との違いは何なのか。つまり、ブランド化することが商品価値を上げる第一歩だと言えます。

生産農家がブランド化すること自体、珍しいですが、6次産業を見据えた生産から加工、流通、販売までを一体化させる生産農家は、ごく一部です。

私たちは、ウェブマーケティングの強みを生かし、各関係機関と密に連携することで、ブランド化した商品を6次産業として確立します。後々は、若手農業従事者が増えるように、地域の若手人材の育成も行っていきます。

③ 海外に付加価値をつけて売り出す

日本国内の人口増加率は減少傾向なので、国内の食品需要は衰退気味。しかし、世界を見てみると、人口は増加の一途をたどっていて、将来的には食糧危機になると言われています。世界的な動きでいうと、SDGsの観点から、「飢餓をゼロに」という動きがあるため、ますます、日本国内の農産物を海外に出していくことが重要です。

私たちの住んでいる沖縄県は、海外進出という意味では、地理的優位性があり、沖縄県の「沖縄国際物流ハブ活用推進事業」などを利用すれば、事業的にも更に恵まれた環境で他社と勝負することが可能です。


※出典:(公財)沖縄県産業振興公社より

最近ではTPPの問題で、生産農家が価格競争に巻き込まれやすいだけでなく、更に、日本はEPAやRCEP協定なども結んだため、海外からの安い輸入品は増えていく一方です。

しかし、逆を言えば、世界に誇る『Made in Japan』の商品を海外に関税無しで出品できることを考えると、これほど恵まれた好機はありません。

海外に、沖縄から良質な『Made in Japan』の商品をどんどん出していく。これが私たちの使命です。

④ 女性が働きやすい環境を整える

農業で成功するためには、女性がいかに参入しやすい環境を整えるかが必要不可欠です。生産の質を上げたり、商品開発に携わったり、女性目線でのマーケティングで戦略を考えたり、デザインを考えたり。「農業の発展=女性の参入」にカギがあると考えています。

私たちは環境づくりの一環として、重たいものをできるだけ持たせない工夫や、女性トイレの設置、柔軟な勤務スケジュールなどを実践しています。

⑤ とにかく楽しくやる

私たちの働く上でのモットーは、楽しみながらやること。朝のコーヒータイムや、3時のモグモグタイムなどで、リラックスした環境で取り組んでいます。

「こんなアイディアはどう?」「それいいね!」が基本。リラックスした環境で、楽しくやるから良いアイディアは生まれます。

きくらげ栽培を始めました

「この農地を再生させるのは不可能だよ。」

そう言われて始めた、荒廃農地の整地。沖縄で農業ハウスの建った農地を見つけるのは至難の業で、残された場所は、20年以上手入れもされていない、お化け屋敷のようなハウス。Google Mapで見たら、まさに森。

そんな荒廃農地を10か月かけて再生させました。

その様子やプロセスは、Instagramで公開しています。

 

 

 

再生した農地で始めたのが、きくらげ栽培。

きくらげは、全食材の中で、最も食物繊維が多く(不溶性食物繊維)、便通改善効果の高い食材です。また、全食材の中で、最もビタミンDの含有量が多い食材でもあり、更にカルシウムや鉄分、ビタミンB、各種ミネラルなども豊富に含んだスーパーフードです。

このきくらげを使って、現在、『6次産業化×ブランディング』事業として、【きくらげ小町】というブランド名で、徐々にシェアを拡げております。

【公式サイト】きくらげ小町

 

SDGsの取り組み

きくらげ栽培で、使い終わった菌床(廃菌床)を、肥料や飼料、カブトムシやクワガタの栽培マットとして再利用することで、環境に優しい循環型農業に取り組んでいます。また、地域の障がい者就労支援事業所と連携することで、障がい者の労働機会の創出も積極的に行っています。

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